グッドウィル廃業 派遣業界への重い警告だ

グッドウィル・グループは、子会社で日雇い派遣最大手の「グッドウィル」を廃業し、日雇い派遣事業からの完全撤退を決めた。二重派遣など相次ぐ法令違反で厚生労働省から事業許可が取り消される方向となり、事業継続が困難となった。

 労働者の安全な就業環境を無視する違法な行為に対して厳罰で臨むのは当然である。今回、法令違反があれば、業界最大手でさえ廃業を余儀なくされることが示された。派遣業界全体に対する重い警告として受け止めるべきだ。

 この廃業の背景には、日雇い派遣に対する社会的な厳しい批判がある。派遣労働者は、携帯電話やメールで派遣会社から連絡を受けて、毎日異なる会社に派遣される。ピンハネに近い搾取を受けたり、派遣先から差別的にあつかわれる例も数え切れない。

 禁止されている建設や港湾労働の現場に行かされて、けがをしても労災の適用を受けられないケースも多い。

 こうした労働環境は「ワーキングプアの温床」と指摘され、野党だけでなく、与党の公明党も日雇い派遣の全面禁止を主張し始めた。舛添要一厚生労働相の指示を受けて、厚労省も秋の臨時国会への提出をめざして労働者派遣法改正の検討に入った。

 しかし、日雇い派遣の全面禁止を求める議論は、短絡的すぎないか。およそ5万4000人いる日雇い労働者がきちんと職を得られるかどうかという大事な点が議論から抜け落ちている。

 日雇い派遣はそもそも、「働きたいときに働きたい」という労働者にとって、メリットがある。全面禁止になれば、就労機会が減ることが懸念される。さらに自ら働き口を探し、賃金交渉をしなければならなくなる。

 企業側も直接、求人を募集し、労働力を確保しなければならない。コストの上昇も避けられない。裏社会の手配師などの暗躍を許す結果になってしまっては本末転倒である。

 日雇い派遣をめぐる問題の中には、雇用管理を徹底すれば解決する点も少なくない。違反が多発する業界の体質改善はもちろん喫緊の課題である。

 その上で、短期かつ柔軟に雇用調整を行いたい企業と、時間を選んで働きたい労働者のニーズに応えるしくみをつくる工夫を求めていきたい。
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